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アイドルとモノマネが生む相乗効果、衝動的な批判が奪う可能性

2018-05-23

お笑いタレントのキンタロー。がテレビで披露した欅坂46・平手友梨奈のモノマネに対し、平手ファンからの抗議が本人のSNSや事務所にまで殺到。炎上状態となった。キンタロー。と言えば、かつてはAKB48のエースだった前田敦子のモノマネでブレイク。このときは前田本人も逆に“ネタ”にしたりと、両者が良い関係に落ち着き、ファンにも好意的に受け入れられた。過去にも、コロッケによる岩崎宏美、故・前田健さんらによる松浦亜弥など、芸人によるアイドルのモノマネが相乗効果を生んだ例は少なくない。ファンが応援するアイドルを茶化されたような気持ちにもなるのもうなずけるが、衝動的にモノマネを批判することは、芸人側はもちろん、アイドル側にもマイナスに働く可能性がある。

■欅坂46・平手のモノマネにより炎上、キンタロー。の元に罵詈雑言

 キンタロー。が平手のモノマネを披露したのは、5月11日放送の『爆笑そっくりものまね紅白歌合戦スペシャル』(フジテレビ系)。他の女性芸人たちと共にスーツ姿で、欅坂46のシングル曲「風に吹かれても」をパフォーマンスし、軽快に踊りながら目をむいたりと顔芸を織り交ぜて歌った。

 放送後、ネットでは「馬鹿にしている」「謝罪しろ」といった批判が目立ち、キンタロー。自身も「炎上とまらず…ついに…」と題したブログで言及。「承認されてないコメントが3000件以上寄せられてます」「Twitterとかに直接 罵詈雑言が届いてます」「(事務所の)松竹芸能にまで怒りの連絡きてるみたいです」などと書く事態に陥った。

■元AKB48・前田敦子モノマネは本人も公認、出演CMでは自ら模倣し話題に

 キンタロー。が前田敦子のモノマネでブレイクしたのは2013年。選抜総選挙での「私のことは嫌いでもAKBのことは嫌いにならないでください」という涙のスピーチをパロディ化し、「フライングゲット!」と両手を広げてキメポーズ。このときも当初は批判にさらされ、オフィシャルでなかったブログは無法地帯と化し、本人の携帯がフリーズしたという。

 だが、AKB48を卒業した前田自身が「まだお会いしたことないけど、うれしい」とモノマネを“公認”し、テレビでAKB48現役メンバーとの共演も実現。また、前田がソフトバンクモバイルのCMで“逆モノマネ”に見える「フライングゲット」ポーズを披露したこともあった。また、キンタロー。はももいろクローバーZの百田夏菜子のモノマネもレパートリーにしていて、テレビ番組で本人の前で披露。百田は「非公認」を言い渡しつつ、ブログでは「実際はかなり嬉しかったりします」と書いていた。

 『中居正広の金曜日のスマイルたちへ』(TBS系)の社交ダンス企画では、日本代表として世界選手権に出場して7位に入るなど、芸ごとへの熱心な取り組みで知られるキンタロー。。その姿勢は、前田らのモノマネにも発揮されていた。前田へのリスペクトもブログで綴っており、笑いは取りつつ真摯で悪意はないとファンにも認知され、広くウケる鉄板ネタになった。

■炎上の要因のひとつは、カリスマティックな平手のキャラとタイミング

 平手のモノマネも、取り組み方や芸風は変わらない。それがなぜ、ここまで批判を呼んだのか。ひとつの要因は、アイドルの中でも特殊な平手の立ち位置にある。欅坂46はデビュー曲「サイレントマジョリティー」から大人や社会への反抗を歌っている。舞踏パフォーマンスを思わせるダンスとも相まって、他のアイドルグループにないクールで強いイメージが支持を受けているが、その中で飛び抜けて目立つセンターをシングル6作連続で務めて象徴になっているのが平手だ。

 グループ最年少、現在16歳にして圧倒的な存在感を放ち、カリスマ性を持つ彼女は単なる人気アイドルではなく、ファンに“信奉”のような感覚ももたらしている。そのカリスマがお笑いのネタにされたことで貶められたような心情になり、普通のアイドルがモノマネされたのとは違う反発が生まれたのだろう。そういう意味で、平手はもともとアンタッチャブルな存在だった。

 加えて、タイミングも悪かった。平手は1月に負った右腕のケガは回復したものの、4月に行われた欅坂46のデビュー2周年ライブをはじめ、握手会やテレビ番組も欠席している。「スケジュールの都合」とされているが、ラジオで本人が「悩んだ末に…」と話したり、以前に『SONGSスペシャル』(NHK総合)でグループを背負う葛藤を語ったこともあり、精神面や体調面の不調を心配する向きもある。そんな大変なときに笑いのネタにするとは…と火に油を注いだ面があった。

■アイドルのモノマネは諸刃の剣、だが相乗効果を生むことも

 人気アイドルのモノマネは話題になりやすい一方、今回のようにファンの反感を買う場合もあり、諸刃の剣と言える。お笑いとしてのモノマネは単に似せればいいわけでなく、デフォルメやパロディが必要になるため、面白く思わないファンが一定数は出ることはやむを得ない。

 だが過去には、モノマネされたことがアイドル自身の人気の広がりや、長期化に繋がった例もある。遡れば、1975年に実力派アイドルとしてデビューし、ヒットを連発した岩崎宏美のモノマネが挙げられる。80年代にコロッケが「シンデレラハネムーン」のモノマネをやりだしたため、本人のコンサートでこの曲のイントロが流れると笑いが起きるようになったと言うが、のちに「若い人たちに岩崎宏美という名前を繋げてくださって、すごく感謝しています」と、テレビ番組内でコロッケ本人に話していた。故・前田健やはるな愛の松浦亜弥、おかもとまりの広末涼子、友近の中森明菜…などのモノマネも、同様な相乗効果を生んでいる。これらの例からもわかるとおり、たとえアイドル自身の活動が落ち着いたとしても、媒介者たるモノマネタレントが芸を披露し続けるからこそ、世間からその存在は忘れられることなく、長く語り継がれていくことになるのだ。

■SNSの直接攻撃によりさらに加熱、衝動的な批判は両者の可能性を奪う

 平手は現役アイドルだけに、欅坂46を知らない世代や非アイドルファン層がキンタロー。のモノマネから逆に興味を持ち、本家の魅力に触れれば、認知がより広がりダイレクトな好影響をもたらし得る。炎上騒動の最中、平手ファンからキンタロー。に対し「欅坂46と平手友梨奈の存在がいろんな世代に伝わった」といった好意的な声も出ていた。一方、「あんなモノマネをされたから頭に血がのぼって、つい言いすぎました」とツイートした平手ファンも見受けられた。

 SNS時代の今、一般人も芸人を直接攻撃できるだけに、感情的な批判は影響力を増し、それがネットニュースになるなど騒動は過熱しやすい。結果、モノマネによりアイドルの魅力を間接的に伝える機会が失われることはもちろん、モノマネ芸のハイライトでもある“本人との共演”が当人の感情とは別の忖度からNGになれば、アイドルと芸人双方の可能性と相乗効果を奪うことにもなりかねない。そう考えると、ファンとしての想いからであっても、衝動的な芸人の批判はアイドルにもプラスにならないだろう。

 アイドルとしてステップアップするには、幅広い年代や層の人々に認知されることと、人気を長く持続させることが重要。芸人にモノマネのネタにされるのも、アイドルの普及になっていると考えればマイナスではない。エンタテインメントにはシリアスでストレートな表現もあれば、笑いを誘うために捻ったデフォルメもある。人を楽しませることには変わりないと、どちらの“芸”も寛容に見守り、ウイン・ウインの相乗効果に期待するのも、ひとつの応援の仕方だ。

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